南天茶とエビネギ饅頭──難転の湯気に福を包む
冬の庭に朱をともす南天の実。
「難を転じて福となす」との言葉どおり、古来より厄除けの木として重宝されてきた。
その実を煎じていただく南天茶は、喉を潤し、心を静める冬の妙薬にござる。
南天茶の作り方
乾かした南天の実を小鍋に入れ、弱火で静かに煮出すこと十数分。
蜂蜜をひと垂らしすれば、苦みにやさしさが加わり、冷えた身体に染み渡る。
一服のうちに、難が福へと転じるような心持ちになるでござる。
合わせるは京の逸品──エビネギ饅頭
この茶の淡き苦みに寄り添うのが、京都点心福のエビネギ饅頭。
ぷりぷりの海老と九条ねぎの香が織りなす旨味を、もちもちの皮がやさしく包む。
南天茶の湯気とともにいただけば、寒夜も穏やかに過ぎていくことであろう。
冬の膳に、朱の実を添えて
南天の赤は、冬の白景に映えてまことに美しい。
その枝を膳に添えるだけで、食卓が厄除けと福招きの趣に変わる。
まさに「難転福来」──焼売奉行の心に通ずる理にござる。
「難を転じ 朱の実に映る 冬の湯気」
