福福通信|しゅうまい奉行公式ブログ
2025.12.03
茶の花が多き年の理(ことわり)と、焼売専用茶の妙|シュウマイ奉行覚書

茶の花が多き年は、木の告げる“静けき兆し”
晩秋から冬へ向かう折、 茶畑に白き花がそっと咲き申す。 その姿、清らかにして静寂。 まさに季節の移ろいを告げる灯火にござる。
■ 茶の花とは何者か
茶の木は椿一族ゆえ、花も凛とした佇まい。 白き花びらに黄金の雄しべが揺れ、 咲くは十月より十二月。 二十四節気で申せば「霜降」「小雪」の候。
■ 花が咲けば、葉はどうなる
木にとって花を咲かすは当然の営みなれど、 花が増えれば新芽に回る養分が減り申す。 茶葉を生業とする者にとって、 花の多き年は決して楽ではござらぬ。
■ 茶の花が多き年 ― その裏側
● 一、木が“疲れたる”しるし
夏の乾き、虫害、寒暖差。 木が苦労を重ねし年、 「いまのうちに実を残さん」と花を多くつけ申す。
● 二、翌春の新芽が弱りやすい
花が栄養を吸うゆえ、新芽は細りがち。 農家が花数を“木の体調”と見る理由ここにあり。
● 三、前年の夏の影響が出る
花の多寡は、その年のみならず 前年の猛暑・乾燥・大雨などの記憶が影響いたす。
■ 木が語る“声なき声”
茶の木は声を持たずとも、 花の数と咲き方に己の状態を映し出すもの。 自然の息遣いに耳を澄ませば、 その声が聞こえて参る。
花多し 木の息づかい 聞けと告ぐ
■ 茶の働きは食卓にも及ぶ
茶は料理の味わいを整える妙技を持ち申す。 焼売のように肉の旨味が強きものには、 渋みと香りのある茶こそ最良の相方。
脂を軽やかに払い、 後味を清らかに整える。 これぞ茶の力にござる。
■ 奉行推奨「焼売専用茶」
かほどの“茶と点心の調和”を求め、 京都点心福が拵えたるが 焼売専用茶。
- 脂を切る見事な渋み
- 香りが旨味を引き立てる
- 食後まで重さを残さぬ清らかさ
■ 結び
茶の花が多き年は、 季節の兆しと木の体調がそっと映るもの。 そして茶は、点心の味の流れまでも整え申す。
自然の巡りとともに味わう一杯は、 日々の食卓を“ひとつ上の境地”へ導くでござろう。