福福通信|しゅうまい奉行公式ブログ
2025.12.06
十二月の満月と肉汁焼売の献立|京都点心福

十二月の満月と湯気の食卓(奉行語り)
冬の空気が澄みわたり、師走の夜はまこと静けさ深うござる。 この季節にめぐり来る満月は、古より「寒月(かんげつ)」と称され、 夜天に浮かぶその光は、心を鎮め、年の締めくくりを思わせるものでござる。
さて、寒月を迎える夜には、湯気が立つ食卓がよく似合う。 蒸し立ての肉汁焼売は丸き姿が月にも通じ、 蒸籠から立ちのぼる温もりは、冬の身に沁み渡るやもしれぬ。 袋のまま温めれば事足り、ひと粒より宴が成り立つは、 点心の利点に候。
🥢 寒月にふさわしき献立
肉汁焼売 × 冬野菜 × 月見汁 × 菜めし―― 丸き食卓は「満つる」夜を寿ぐにふさわし。
一、主皿:肉汁焼売の蒸し立て
材料(2〜3人前)
肉汁焼売 … 6〜10粒(心持ちにより増減)
所作
1. 蒸籠にて7〜10分、湯気の中に身を委ねる。
2. または袋のまま温めてもよし。
3. 酢醤油・山椒塩・生姜醤油など、
好みの薬味で味わい深まる。
二、蕪と九条ねぎの白味噌煮
材料
蕪 … 2個(葉あれば少々)
九条ねぎ … 10cm
出汁 … 300ml
白味噌 … 大さじ2〜2.5
みりん … 小さじ2
塩 … 少々
所作
1. 蕪は皮をむき、くし形に。葉は小口切り。
2. 出汁に蕪を入れ、弱火で10〜12分煮含める。
3. 白味噌とみりんで整える。
4. 九条ねぎを散らす。
三、月見汁(豆腐と生姜の卵黄仕立て)
材料
豆腐 … 150g
生姜 … 小さじ1〜1.5
卵黄 … 1個
出汁 … 400ml
醤油 … 小さじ1
塩 … 少々
三つ葉 … 適量
所作
1. 出汁を温め、豆腐を入れる。
2. 醤油と塩、生姜で整える。
3. 火を止め、器に盛り、卵黄を浮かべる。
4. 三つ葉を一つまみ。
湯面に浮かぶ卵黄は、一輪の満月のごとし。 湯気と共に夜を穏やかに照らす。
四、菜めし(青菜と油揚げ)
材料
ご飯 … 2合(炊きたて)
青菜 … 100g(ほうれん草・小松菜など)
油揚げ … 1枚
醤油 … 小さじ1/2
塩 … ひとつまみ
所作
1. 青菜はさっと茹で、細かく刻む。
2. 油揚げは湯通しし、細く刻む。
3. 温かきご飯と和え、醤油・塩で整える。
🌕 寒月の夜は、湯気に心がほどける
満月は「満つる」象徴。 豪奢でなくとも、湯気が立ち、 静かに噛みしめれば、それで充分。
蒸し立ての肉汁焼売は、小さな月のごとく。 蒸籠の温もりとともに夜を照らす。 冬の夜に、湯気は何よりのご馳走に候。