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2025.05.17
【薔薇雨に濡れて、志を映す三刻】

五月の候、伏見の地にも梅雨の走りを思わせるような、静かなる雨が降りしきる一日となり申した。
このたびは、琵琶湖疏水沿いに咲き誇る薔薇の花を目にし、つい一句したためた次第にござる。
> 雨の香に 咲いては濡れる 薔薇の色
映す三刻 滴に込めて
時に五月十三日。朝よりしとしとと雨が降り、空は一面の鈍色ながらも、まるで薄墨を流したかのような美しき静けさが街を包んでおった。
疏水のほとりには、赤や桃、薄紫といった多種多様な薔薇が見事に咲き揃い、雨粒に濡れてはなお艶やか。あたかも天の雫を装飾に添えたかのごとく、その姿は気品に満ちておる。
薔薇と申せば、西洋の象徴のように思われがちではあるが、ここ京都の地に咲くとなればまた格別。和の景色に溶け込み、疏水の静かな流れと共鳴する様は、まことに雅。
さて、昨日はこの静謐なる景色とともに、我ら「京都点心福」の志を映すべく、三刻(約三時間)にわたり動画の撮影を敢行いたした。
屋外と屋内を行き来し、点心作りの所作、工房の空気感、そして何より「仕込みに宿る魂」をお伝えすべく、寸分の妥協なく取り組んだ撮影であった。雨音を背景に、手を動かし、心を込めて包む焼売。蒸気立ちのぼる蒸籠の奥に、ただ熱と技と、誠意が宿る。
表に見えるのは、たったひとつの点心。しかしその裏に込められた工程、想い、練習の積み重ね――それらを、映像というかたちで届ける意義の重さを、改めて感じさせられた日でもあった。
撮影の最中、ふと休憩の折に外を眺めれば、雨に濡れながらも凛と咲く薔薇の姿が目に映る。あの一本一本にも、それぞれの育ちがあり、土に根を張り、風雨に耐え、やがて花ひらくのだと思えば、我らが作る点心とどこか通じるものを感じずにはおれぬ。
見えぬ努力を重ねてこそ、真の美しさが生まれる。これは花にも、職にも、人生にも通ずる道理にござろう。
今後、編集を経てこの映像が皆々に届くことを楽しみにしつつ、また一歩、よりよき点心を目指して邁進する所存にて候。
さあ、次なる撮影もまた、晴れの日もあらば雨の日もあろう。しかしいずれの空模様であっても、我らが信じる道のりに迷いなし。
雨に濡れし薔薇の色も、三刻の映像も、その一瞬一瞬が尊きものであると心に刻み、明日もまた、心静かに、誠を込めて包み続ける所存。
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