福福通信|京都点心福公式ブログ
2025.08.12
百日紅と千日紅 ― 紅の名を持つ二つの花、味わい比べの妙

さて、ここでひとつ申しておこう。
いずれの花も、食用としての道があるのでござる。
千日紅は、花びらを乾燥させて「千日紅茶」として用いれば、
淡い甘みとともに視覚にも鮮やかな茶が楽しめる。薬膳の世界では目や喉に良いとされることも。
百日紅も、花びらは一応食すことができ、色を添える飾りとして用いられる例あり。
ただし、葉や種は食用に適さぬゆえ、無闇に口にするでない。
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この二つの花、名に「紅」を冠しながらも、性格も姿も異なり申す。
これはまるで、我らが京都点心福の二大看板――肉汁焼売と塩焼売の関係に似ておる。
肉汁焼売は、百日紅のごとく華やか。
噛めば肉汁が滴り、宴席の主役にふさわしい。
塩焼売は、千日紅のごとく静やか。
素材の旨味を活かし、日々の膳に寄り添う。
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いずれも、長きにわたり愛されるためには、それぞれの良さを生かすこと肝要。
紅の花を愛で、紅の名を持つ焼売を味わう。
これぞ夏の京の、粋な楽しみ方にござる。