福福通信|京都点心福公式ブログ
2025.08.19
🏯 青き花、香り立つ塩──サルビア・パテンスとセージの夏

──シュウマイ奉行、涼を食卓に招くの巻──
一、青き花に立ち止まる
暑気きびしき折、道すがらふと目にとまったは、まばゆきほどの青き花。
名を「サルビア・パテンス」と申す。別名「ゲンチアナセージ」。
その青、まるで夏空をそのまま閉じ込めたごとく清らかにして涼しきこと、風鈴の音色にも似たりけり。
この花、ただ見て愛でるに留まらず、香りの妙にて台所にて力を発揮すると聞きつけ、
拙者、シュウマイ奉行として黙してはおられなんだ。
二、セージの由来と焼売との因縁
「セージ(Sage)」とは、ラテン語の「Salvare(救う)」を語源とし、
古のギリシャ・ローマにては万病に効く聖なる草として重宝されしハーブなり。
さればこそ西洋にては「五月にセージを食せば長生きできる」との諺も伝わるほど。
また、豚肉の臭み消しにも用いられ、その香り高き力ゆえ、
豚肉料理の代表格たるソーセージの名の由来にさえなっておる。
…ん? 豚肉にセージ?
――これはまさしく、焼売と香りの邂逅ではござらぬか!
三、あえて混ぜぬ、香りは添えるもの
されど拙者、申しておく。
焼売はそのままの姿こそ至高。
あんにセージを混ぜては、風味が西洋に寄りすぎ申す。
中華点心としての誇りを損じることなきよう、セージは“脇に徹す”が肝要にて候。
四、パテンスのハーブ塩、ここに誕生す
そこで拙者、考えを巡らせた末に生まれたのが、この一品。
『パテンスとセージのハーブ塩』。
青き花 涼風まねく パテンスや
セージの香り 食卓の彩
この句と共に、Instagramにて披露いたした次第。
【作り方はこちらにて】
《材料》
- パテンスの乾燥葉:大さじ1
- セージの乾燥葉:大さじ1
- 岩塩:大さじ3〜4
- 黒胡椒:少々
- レモンピール(乾燥):お好みで少量
《手順》
- すり鉢にてすべてを細かくすり合わせる
- 密閉瓶にて1日寝かせ、香りを馴染ませる
- 完成なり!冷奴・野菜・そして焼売の脇にどうぞ
一口目はそのまま、二口目はハーブ塩にて。変化の妙をお楽しみあれ。
五、香りは食を制す
拙者が申すに、焼売とは形こそ小ぶりなれど、広き世界を包むもの。
和洋の知恵をうまくあしらい、香りを添えることで、
一層の「雅(みやび)」と「深み」を引き出せましょう。
六、しめの奉行格言
「薬味は己を主張せず、肴を引き立てるが真の役目」
セージもまたしかり。
主役を張らず、ただ寄り添い、
焼売の美味しさを後押しする、隠れた功労者でござる。
🌿 青き花を眺めつつ、セージ香る塩で一献。
この夏、涼を招く点心の趣向──お試しあれ。