福福通信|京都点心福公式ブログ

2025.08.20

🔥 焼きとうもろこしにして落胆せし訳

🔥 焼きとうもろこしにして落胆せし訳
焼くべからず──紫とうもろこし、真の姿は湯気にあり

🌽 焼くべからず──紫とうもろこし、真の姿は湯気にあり

焼いて美味しゅうなかった――その経験こそ、食材の“本性”を見抜く第一歩にござる。
紫とうもろこし、されど侮ることなかれ。その真価、ここにお見せ仕ろう。

🔥 焼きとうもろこしにして落胆せし訳

ある日、拙者は紫とうもろこしを手に入れ、意気揚々と焼いてみた。
しかし、甘味は乏しく、皮は堅く、香ばしさも今ひとつ
これは…「うまくない」と、素直に思うた。

だが、それは“失敗”ではなく“相性違い”――まさに食の奥深さを教えられたのである。

📜 紫なる黍(きび)、その血筋はインカの神穀なり

紫とうもろこし、別名「マイス・モラード」。その系譜は、はるかアンデスにて数千年の歴史を持つ神聖な穀物にて候。
紫色はアントシアニンによるもので、抗酸化作用にて知られ、現地では「チチャモラーダ」なる霊水として愛飲されておる。

🍹 和にも通ずる、チチャモラーダの妙

紫とうもろこしを芯ごと煮出し、果皮と香りを調え、甘味と酸味で仕上げる――
それがチチャモラーダにてござる。
日本の夏にも合うよう、柚子とりんごを添えた“和仕立て”の作り方をご披露申す。

《紫とうもろこしと柚子のチチャモラーダ風》

📦 用いるもの(3〜4人分)

  • 紫とうもろこし(芯つき)…1本
  • 水…800ml
  • りんごの皮…1個分
  • パイナップルの芯または皮…1/4個分
  • シナモンスティック…1本
  • クローブ…2〜3粒(お好み次第)
  • 柚子皮…少々
  • 砂糖または蜂蜜…大さじ2〜3
  • レモン果汁…大さじ1〜2

👨‍🍳 拙者流・仕込みの手順

  1. 鍋に水・とうもろこし・果皮・香り物を入れ、30分以上静かに煮出す。
  2. ざるで濾し、冷ます。
  3. 甘味を整え、最後にレモン果汁を加え冷やして供す。

🥟 点心との合わせは、かように粋でござる

このチチャモラーダ、点心との相性は抜群なり。以下のごとく、組み合わせ次第で“京の宴”にもなる。

紫とうもろこしの型 合わす点心 旨さの理(ことわり)
チチャモラーダ(冷) 肉汁焼売・塩焼売 旨味を洗い、次を誘う
柚子入り仕立て 海老水餃子(冷菜) 海老の甘みを引き立てる
粉を蒸し生地に練り込む しゅうぱん もち感と彩りが増す
粒を刻みて具に 変わり春巻 シャキッとした歯応え
おこわ仕立て 焼売・餃子セット 主食に彩りと滋味を

✅ 結びに代えて──焼かぬが極意

焼いてうまからずとも、道は開ける。紫とうもろこしは、煮て、蒸して、香らせてこそ活きる素材にて候。

見た目に惑わされず、香りを読み、湯気に心を澄ませば、一つの素材が、世界を広げてくれる。焼かずに活かす――それもまた職人の矜持にござる。

🍽 紫とうもろこしと手を取り合う、京都点心福の「塩焼売」もぜひに!

表示:PC