福福通信|しゅうまい奉行公式ブログ
2025.11.06
霜月満月と月見点心|京都点心福

霜月の満月──湯気と光を味わう夜
霜月の空に満ちし月、翌夜なお冴え渡り、十六夜(いざよい)の光あざやかに候。 風ひやり、冬の息吹そっと忍び寄りし折、伏見の丘に黄金の円がのぼり申す。
今宵は、京都点心福の肉汁焼売を蒸し上げたり。 湯気は月霞のごとく、噛めば旨汁ほとばしり、胸の内あたたまる妙味にて候。
月を喫す 蒸気ほの白 冬立ちぬ
◆ 月見だれ(卵黄とろりのたれ)
用意
卵黄1/醤油小さじ2/みりん小さじ1/酢小さじ1/2/胡麻油少々/白すり胡麻/七味適宜
仕立て
小鉢に卵黄を落とし、調味をそっと注ぐ。
いただく直前に箸で月を割り、焼売へ。
とりわけ肉汁焼売の甘露と響き合い、月の雫の如き幸福、ここにあり。
◆ 卵黄醤油漬け(漬け月の珠)
用意
卵黄1〜2/醤油大さじ2/みりん大さじ1/酒大さじ1(ひと煮立ちさせ冷ます)
仕込
卵黄を調味に沈め、一晩。
翌朝見れば、月の珠のごとき艶。湯気立つ肉汁焼売の上にて割り、口中に福満つ。
◆ 卵黄の余香──旨味醤油の活かし方
- 焼売・餃子のつけだれに
- 炊きたて白飯へひとしずく
- 湯豆腐・お浸しに
- 白胡麻油+九条ねぎで香味だれ
- 出汁割りにて月見温玉だし
わずか一滴に、月と湯気の名残あり。
◆ 結び
月を仰ぎ、湯気に手をかざし、しずかに噛みしめる夜。 次の月にもまた、肉汁焼売を蒸し、月の珠を割り候。
湯気やわら 満つる月影 掌(て)にすくう