福福通信|しゅうまい奉行公式ブログ
2025.11.10
花梨酒と京の焼売|冬支度の一献【京都点心福】

花梨酒が薫る季節──冬支度の盃に
立冬を越え、空気鋭く澄みゆく折にこそ恋しくなるのが、花梨酒の金色の雫。 硬き実を刻み、氷砂糖と酒に沈めれば、月日の巡りが甘酸の香を育てる。 寒さ深まる頃の、心身を温める一献でござる。
花梨酒の妙味
花梨酒は、すっと鼻を抜ける爽やかな香りが身上。 湯で割れば陽だまりを含んだような温かさが広がり、夜更けの静けさにもよく寄り添う。
冬のお守りのような一杯
乾きやすい喉をいたわり、寒の入りに“そっと効く”とも古来より語られて参った。 京の家々でも、冬支度の品として重宝されてきた酒にござる。
京の焼売と合わせる妙趣
花梨酒は旨味を軽やかに引き立て、点心との相性も見事。 なかでも以下三種とは、調和が抜きん出ておる。
一、塩焼売──澄んだ旨味をさらに際立てる
花梨の酸の余韻が、塩焼売の素材感を見事に後押しする組み合わせ。
塩焼売(公式ページ)二、だし焼売──京だしの上品さに花梨が寄り添う
昆布とかつおのだしに、花梨酒の柔香がふわりと重なり、まろやかで雅な余韻に。
だし焼売(公式ページ)三、海老焼売──甘みに花梨の清涼が映える
海老の甘さに花梨の爽やかさが加わり、膳がひときわ華やぐ取り合わせに。
海老焼売(公式ページ)花梨酒の仕込み方(簡易)
一、花梨を洗い、1〜2cm角に刻む。 二、瓶へ花梨と氷砂糖を交互に重ね、酒を注ぐ。 三、ひと月で香り立ち、三月で飲み頃、半年で円熟味が出る。
伏見の冬景とともに
伏見の川辺は澄み、風は冴え、湯気立つ点心が恋しい季節。 花梨酒を一献、焼売をひとつ添えれば、寒さすら趣へと変わる。 冬支度の折、ぜひ一度お楽しみくだされ。