福福通信|しゅうまい奉行公式ブログ
2025.11.19
【奉行の見立て】昔ながらのシュウマイ|極薄0.45mmの皮、その妙技

【奉行見立て】昔ながらのシュウマイ|極薄0.45mmの皮、その妙技
拙者、シュウマイ奉行にて候。 霜降の気配ただようこの頃、蒸籠の湯気がひときわ旨げに見える季節となった。 本日は、京都点心福が守り続ける「昔ながらのシュウマイ」の皮の奥義、 その妙味をつまびらかにいたそう。
◆ 皮の極み ― 厚さ0.45mm
世の点心は多けれど、この皮の気品は格別である。 指先にのせれば光を透かすほどの薄さながら、包めばしなやかに伸び、 蒸し上がると寒菊の花のごとくふわりと開く。
京都の町中華が受け継ぐ 「薄皮でも破れぬ強さ」「口に残らぬ軽さ」。 これを両立させるは、容易の業にあらず。
粉の湿り、寝かせ時間、季節の気温までも読み、 職人がその日の最良の柔らかさへと仕立てる。 まさしく“手練の眼”を持つ者のみが扱える業にて候。
◆ 極薄ゆえ、具材の旨味が冴えわたる
皮が厚すぎれば、豚肉の甘味もクワイの歯切れも翳んでしまう。 されど、0.45mmの薄皮は違う。
- 赤身80%豚肉のむっちりした締まり
- 角切りクワイのしゃくっという快い音
- あと口に残る上品な塩味の余韻
三味線と尺八が掛け合うがごとく、互いを高め合う妙なる調和。 気づけば一つ、また一つと箸が進むであろう。
◆ 四季の趣と寄り添う薄皮の美学
小雪へ向かう頃合いには、工房に立ち上る湯気が冬支度の風情を帯び、 蒸し上がりの焼売は白菊のように湯気の中で咲く。
春は菜の花、夏は青じそ、秋は銀杏…… どの季節の香りともそっと寄り添うのは、 この薄皮ゆえである。 具材と季節の風味がまっすぐ舌へ届く、これこそ薄皮の真骨頂。
◆ 奉行の総評
「薄きは弱さを示さず。むしろ薄きほど技が問われる。」 これぞ昔ながらのシュウマイ皮の心である。
0.45mmの極薄が、京の旨味をまっすぐに届ける。 華美ではなく“技”と“矜持”が宿る一粒、ぜひ味わっていただきたい。