【奉行見立て】自然の三色素と京都点心福の三つの品

秋風がそよぎ、木々が色づく折。 自然界には緑・赤・紫をつかさどる三つの色素が働いておりまする。 クロロフィル、カロテノイド、アントシアニン——。 これらを京都点心福の三品になぞらえ、奉行の見立てとしてご案内つかまつる。

■ 第一章：九条ねぎ餃子 × 緑のクロロフィル

緑の色素クロロフィルは、陽を受けて働く生命の源。 九条ねぎ餃子の青き香りは、まさにこの色素の息吹を映したもの。 京の畑風景を思わせる清き味わいが、口中に広がるのでござる。

九条ねぎ餃子｜ページを見る

■ 第二章：鬼辛焼売 × 赤のカロテノイド

カロテノイドは本来、黄色を帯びた色素。 されど唐辛子が熟すにつれ赤へと変じ、 鬼辛焼売の上にまぶされた“一味の赤”となるのである。

ひと口かじれば、烈火のごとき辛味が走るが、 その後味は見事に潔し。 自然が生み出した赤き力を宿す、まこと痛快な一品なり。

鬼辛焼売｜ページを見る

■ 第三章：しそ餃子 × アントシアニンの気配

しそ餃子は青じそゆえ、アントシアニンそのものは含まず。 されど赤じそに宿る紫の深みと香りの気配は、 しその風味と見事に相通ずるのでござる。

ひと口ふくめば、さわやかさの奥に静かな陰影が立ちのぼり、 まさに“和の余韻”を思わせる妙味。 季節の移ろいとともに楽しむべき上品な餃子である。

しそ餃子｜ページを見る

自然の理と点心の味わいは、見えぬところでつながっておる。 これなる三品、ぜひ秋の膳にてお召し上がりくだされ。