第二章【食の審判】
京の台所にて、新たなる点心の評定が始まる。
蒸気あがるその瞬間、「しゅうまい奉行」の目が光る──。
素材・仕込み・包み・蒸し──すべての工程を厳しく見極め、
いざ、食の審判の刻である。
奉行:
「ふむ……この蒸し加減、まこと見事。
肉と玉ねぎの比、味の染み入り、皮の薄さ……どれも申し分なし。
よきかな、よきかな! これぞ拙者が求めし点心の姿ぞ!」
点乃:
「お口に合うて、よろしゅうございました。
たとえば『肉汁焼売』は、ほんまにジュワッと広がるんどすえ。
薄うてもっちりした皮も、職人はんの工夫の結晶どすな。」
評定の眼差しは厳しくとも、その奥には“本物を届けたい”という真心が宿る──。
食す者の心に届く点心を、今日も京都伏見より包み届け申す。