福福通信|しゅうまい奉行公式ブログ

2026.09.13

プロのしゅうまいレシピは練らない!肉汁爆発の仕込み比率を公開

プロのしゅうまいレシピは練らない!肉汁爆発の仕込み比率を公開
プロ直伝の仕込み

【プロ直伝】本物のしゅうまいレシピは「練らない」。点心職人が厨房の仕込み分量(10kg)をそのまま公開する理由

京都点心福 職人コラム

京都点心福の肉汁焼売のアン

▲ 練らずに仕立てた、肉汁を蓄える「京都点心福」の焼売アン

ネットや料理本で「プロのしゅうまいレシピ」と調べると、親切に「豚ひき肉200g、玉ねぎ1/2個…」と家庭用の分量に直されたものが並んでいます。

「業務用の仕込みレシピを単純に割り算しても、同じ味・食感には絶対になりません」

熱の伝わり方、調味料が肉の細胞へ浸透する速度、そしてボウルの中の重量による圧力。すべてが少量調理とは物理的に異なるからです。

今回は、京都伏見の工房で実際に使われている「京都点心福」の肉汁焼売の仕込み分量(豚肉10kgスケール)を、一切の妥協なくそのまま公開します。

厨房の仕込み分量(実配合データ)

原材料名 仕込み分量
豚粗挽きミンチ 10 kg
タマネギ 6 kg
片栗粉 500 g
砂糖 560 g
醤油 280 g
オイスターソース 280 g
140 g
黒胡椒 28 g

※この分量を「1/50(肉200g)」などに単純割り算しても同じ味は再現できません。肉の保水構造や熱の入り方は、この圧倒的な質量と手の入らない環境があって初めて成立します。

10kg仕込みの豚粗挽きミンチ

▲ 肉の繊維組織を潰さない極粗挽き肉

調味料の一括投入は論外。状態を見極める「投入順とタイミング」

プロの現場において、調味料を一度に放り込むことはあり得ません。肉の状態、その日の温度や湿度を見極めながら段階を踏んでいきます。

STEP 1 塩と砂糖で土台を作る 塩による肉の結着

冷え切った豚粗挽き肉にまず塩を入れ、浸透圧で表面からわずかにタンパク質(ミオシン)を引き出します。さらに砂糖を合わせ、保水力を高めます。

STEP 2 液体調味料を抱き込ませる オイスターソースなどの液体調味料を合わせる

一気に流し込めば肉が弾いて分離します。肉が水分を完全に吸い込み、表面のツヤが変わる瞬間を見極めながら少量ずつ抱き込ませます。

STEP 3 片栗粉で骨格を固定する 片栗粉を投入して保水ネットワークを定着

肉の状態が整ったところで、黒胡椒で香りを走らせ、片栗粉を合わせて保水ネットワークの骨格を定着させます。

玉ねぎに粉はまぶさない。「野菜の水分×肉の脂」を乳化させる

家庭向けレシピでは「玉ねぎから水が出るのを防ぐため片栗粉をまぶす」とよく書かれていますが、私たちはそんな小細工はいたしません。

調味後の肉ダネに、生の玉ねぎをそのまま投入

  • 塩分で引き出す:下味の入った肉ダネの浸透圧により、玉ねぎから自然な水分が染み出る。
  • 肉の脂と結合:染み出た野菜の水分と、肉からほどけた良質な脂分を合わせ、アン内部で「乳化」させる。
  • 離水しない構造:水分と脂を一体化(エマルション化)させることで、蒸籠で加熱しても水分が逃げ出さず、噛んだ瞬間に初めて溢れ出るジューシーさが生まれる。
生のまま投入される玉ねぎ

▲ 粉をまぶさず、生のまま肉ダネへ投入される玉ねぎ

世間のレシピ通り「練る」と、なぜかまぼこになるのか?

肉粒の食感と脂の重要性

▲ 練りすぎるとこの脂と粒感が失われ、ゴムのような弾力に

「白っぽく粘りが出るまでよく練る」をやると、高確率でゴムのような硬い食感になり、肉汁は外へパサパサに抜け落ちます。

手の体温(約35℃)という敵
豚肉の脂は人の体温でも容易に溶け出します。こねくり回すほど大切な脂が分離し、蒸した瞬間に皮の外へ流れ出てしまいます。

タンパク質の過剰結着
細挽き肉を強くこねすぎると、均一なゴムのような弾力(練り製品化)に変わってしまいます。

京都点心福の真髄:一切練らない「たたきつけ」の科学

私たちが現場で実践しているのは、「練る」のではなく「叩きつける(摔打)」技法です。

極粗挽き肉の組織を残す
肉の筋繊維をペースト状に潰さず、ゴロッとした塊のまま残す。
手の熱を伝えない一瞬の衝撃
台やボウルへ打ちつける衝撃だけで空気を抜き、肉粒の「表面」だけを瞬間結着。
無数の肉汁ポケットを形成
肉粒同士の隙間が、乳化したスープを丸ごと閉じ込める保水ポケットになる。
練らずに叩きつけることで肉汁ポケットを残した粗挽き肉

▲ 粗挽き肉同士が手をつなぎ、肉汁ポケットを形成

1日450個の手包みでしか成立しない「限界のアン」

この「練らないアン」は、極めて粗く、デリケートで崩れやすい状態です。工場の大型包餡機に通せば、機械の圧力で肉粒が潰れるか、ボロボロと崩れてラインが止まってしまいます。

旨味のポケットを潰さないよう、職人の指先の加減だけでふんわりと皮に包み込む。だからこそ、私たちの工房では1日に作れる限界が450個なのです。

1日450個限定 受注生産の手包み焼売

▲ 機械化を拒み、職人がひとつずつ手包みする限定仕込み

京都点心福 肉汁焼売シリーズ5種セット

▲ 【焼売】🥢 これぞ焼売之極み ~職人渾身の手包み~ 肉汁焼売シリーズ

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