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2025.05.12

【花咲き、雨上がりの台所にて】

 時は皐月、二十四節気は「立夏」を越え、空気の中に確かな陽の気を感じる頃合いとなった。
先日の雨に洗われし町並みは、いっそう色を増し、伏見の路地にはあちらこちらに花の香りが漂っておる。

山法師は白き花を掲げ、躑躅(つつじ)は朱に染まり、紫蘭(しらん)は楚々と咲き──
なんとも風雅な眺めにて、まこと日本の初夏は、目にも心にも優しき季節にござるな。

かような中、拙者は本日、伏見の厨房にて、二つの海の幸にて仕込むと相成った。

ひとつは「えび水餃子」五百個。
もうひとつは「エビ焼売」四百五十個──
いずれも、海よりの恵みを余すところなく活かした、点心の中でも殊のほか人気のある品でござる。


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さて、ただ数を追うだけの仕込みにあらず。
本日仕込む「海老(えび)」の点心には、ある“決まりごと”がある。
それはすなわち、「アレルギーへの配慮」にて候。

現代においては、甲殻類にアレルギーを持つ者も少なくない。
されば、我が「京都点心福」では、えびを扱う日は、他の仕込みと日を分けて厳格に管理いたしておる。
まな板、包丁、ボウルに至るまで、すべてを専用に使い分け、混入を断つ工夫を怠らぬこと、日々の務めにて候。

このような配慮は、古き良き“食の誠”を守るためにも欠かせぬことでござる。


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さて、話を「えび水餃子」に戻そう。
水餃子に使う海老は、粗めに刻んで、豚肉と合わせ、青ねぎをきかせる。
包む皮は、水餃子用に少し厚めに仕立てられており、茹でても煮崩れせぬように工夫されておる。

ひと口かじれば、海老のぷりりとした歯ごたえと、肉の旨味がじゅわりと広がり、
まるで春雨の中を跳ねる魚のような、爽やかな余韻が残る。

熱き湯で茹でた後は、酢醤油や辣油をたらせば、また風味が一変。
一皿にて二度三度の愉しみがある、まこと奥ゆかしき一品にて候。


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そして「エビ焼売」。
こちらはまた、水餃子とは違う趣がある。

こちらの焼売は、海老を丸ごと、豚の脂を少しだけ加え、
食感を活かすために、海老の小片をあえて粗めに残しておる。
皮は薄く、蒸しあげると、ふわりと立ちのぼる湯気に、磯の香が仄かに混ざる。

その香りを嗅いだとき、海を知らぬ伏見の町人であっても、
一瞬、潮風を感じるような心地になろう。

まさに「海を包んだ点心」と申しても過言にあらず。
冷酒とも相性良く、これからの暑き時季にこそ、お勧めしたい一品にござる。


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雨上がりの本日──
京の花咲く町並みを背景に、拙者はただ黙々と包む。
五百、六百、七百……手を止めぬままに、想いを込めて、今日もまた包み続ける。

それは、お客様の「うまい!」の一言のため。
そしてまた、安心して召し上がっていただくため。
“点心”とはすなわち、“心を点(そ)える”ものにて候。

ひとつぶの焼売、一個の水餃子にも、
京の季節、台所の気配、そして職人の矜持が宿るものと信じておる。


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次なる仕込みは、また違う季節の香を包むやもしれぬ。
その日まで、皆々、どうか健やかにお過ごしくだされ。

伏見の台所より、拙者シュウマイ奉行、心を込めて。

──了


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