2025.10.28

おぉ……秋風が立ち、伏見の濠川に金の葉が舞う頃。
工房にも湯気が立ちのぼり、蒸篭の中に秋の香が満ちてまいった。
今季、拙者シュウマイ奉行が手掛け申すは――「栗焼売」と「銀杏焼売」。
秋の実りを、ひと包みにした季節限定の仕込みにて候。
蒸したての栗を刻み、国産豚の旨みと重ねる。
白味噌とみりんをほんのり利かせ、やわらかく、まろやかに。
ひと口ごとにほっとするような甘香が広がり、
まるで秋の月をそのまま頬張るが如し。
塩煎りの銀杏を粗刻みにして混ぜ合わせ、柚子皮をひとつまみ。
ほろ苦さと香ばしさが豚の旨みを引き締め、
口中に秋の風が通り抜ける。
冷酒や白ワインにもよく合う、粋な秋の一献にて候。
蒸気の中で香り立つ二つの実り。
これぞ、「包んで味わう」京の秋。
職人の手包みが、皆様の食卓へ穏やかな季節を運び申す。