【シュウマイと精霊蝗虫の仁義なき邂逅】
──バッタは語る、「おぬしも好きよのう」
🦗其の一 草むらの影に“忍者”ありけり
時はお盆直前、場所は伏見と並ぶ風情の鴨川べり。日も傾きかけた夕刻、拙者、シュウマイ奉行は「涼みがてら一散歩」と軽い気持ちで川沿いの道をゆく。 と──突如、草むらが「バサッ」と揺れたかと思いきや、緑の矢の如き物体が、拙者の足元スレスレに飛来! 「な、なんじゃ貴様っ! 敵か!?」と、腰の……いや、エコバッグに手をかけるや否や、姿を現したのは──バッタ界のくノ一、ショウリョウバッタ殿にござった。
🥷其の二 バッタ、まさかの再来
危うく踏み潰すところであったが、そこは奉行の慈悲にて、そっと手で道端へとお引き取り願ったのだが…… なんとこの者──逃げるどころか、くるりと回って再び我が羽織の裾にぴとり! 「おぬし……さてはシュウマイのにおいに誘われおったな?」 虫といえども、ただの通りすがりではなかろう。 きっと、シュウマイ奉行の香ばしき湯気の名残を嗅ぎつけての再訪。 まことに“できるバッタ”にて候。
🍽其の三 焼売をめぐる情報戦、勃発
家に戻れば、ちょうど蒸し上がったばかりの「昔ながらのシュウマイ」が食卓にて湯気を上げておる。 玉ねぎ不使用。くわいのシャキ感。 あっさりとしつつも豚の旨みがぎゅうぎゅうに詰まった、まさに点心界の老舗看板。 「うむ、これは祖母も泣いて喜ぶ味よ……」と、ひと口。 するとどこからともなく「カサッ」と音がし、障子のすき間からバッタ、再び登場。 「まことに、シュウマイ奉行の焼売は精霊にも人気か……!」
🏮其の四 バッタからの刺客状
このショウリョウバッタ、おそらくはあの世よりの密命を帯びておる。 「我らがご先祖様より伝言──“その昔ながらの焼売、ワシにもひとつ食べさせてくれぬか”」 されば拙者、シュウマイ一つを小皿に乗せて仏前に。合掌して一言。 「拙者が食べておきましたゆえ、成仏くだされ。」
📝其の五 〆の一口川柳
バッタ来る 焼売の香に 我を踏む
このようにして、バッタとの珍騒動は幕を下ろしたのであった。
おぬしも、夏の夕暮れには気をつけられよ。
草むらにて、おぬしのシュウマイを狙う忍者が潜んでおるやもしれぬ故……!