【奉行の献立帖】ざくろ香る秋の京膳
秋冷の候、庭の柘榴(ざくろ)紅を割り、露の冷たさが身にしみる頃――。 今宵はその紅を膳に映した「ざくろ香る秋の京膳」を、拙者・シュウマイ奉行がご案内仕る。
主菜・副菜・汁物、そして京都点心福の看板「肉汁焼売」。 四品の調べにて、紅葉の宴をお楽しみくだされ。
🍁 主菜:ざくろ香る京酢豚(3〜4人前)
- 豚肩ロース(ひと口大)…300g
- ピーマン…2個/玉ねぎ…1/2個/パプリカ赤・黄…各1/2個
- ざくろ果汁…大さじ2/黒酢・米酢…各大さじ1
- 醤油…大さじ2/砂糖…大さじ2/ケチャップ…大さじ1/酒…大さじ1/みりん…小さじ1
- 水溶き片栗粉…小さじ1(片栗粉:水=1:1)
- 豚肉に軽く塩胡椒し、片栗粉をまぶす。
- 170℃の油で2分揚げ→休ませ→再び1分揚げ。
- 野菜を軽く炒め、火を止めておく。
- 甘酢を煮立て、水溶き片栗粉で照りを出す。
- 肉と野菜を絡め、火を止めてからざくろ果汁を少量追い入れる。
🍠 副菜:壬生菜とざくろの白和え(2〜3人前)
- 壬生菜…1束(または水菜)
- 木綿豆腐…150g(30分水切り)
- 白味噌…小さじ2/すり胡麻…大さじ1/砂糖…小さじ1/薄口醤油…小さじ1/2
- ざくろの実…大さじ2
- 豆腐を水切り、壬生菜を湯通しして3〜4cmに切る。
- 白和え衣を作り、壬生菜を和える。
- 仕上げにざくろの実を散らす。
🥢 点心:京都点心福「肉汁焼売」
伏見の工房にて、一つひとつを丁寧に包む――職人の手技の結晶にござる。 皮とあんの間に一片の空(すき)も作らず、指先の感覚でふんわりと握り締める。 蒸し上げれば皮は剥がれず、もっちりとした弾力を保ち、 中のあんはじゅわりと肉汁を放つ。 これはいかなる機械にも真似のできぬ、手包みの技ゆえの業(わざ)。 そこへざくろ果汁をひと雫――肉の旨みに果実の酸が寄り添い、 紅葉と月影が溶け合うごとき、深くやさしき余韻が広がるのでござる。
🍲 汁物:里芋と舞茸のすまし汁(3人前)
- 里芋…3個/舞茸…1/2パック
- だし汁…400ml/薄口醤油…小さじ2/塩…少々/柚子皮…少々
- だしを温め、里芋を柔らかく煮る。
- 舞茸を加え、ひと煮立ち。
- 味を整え、椀に盛り、柚子皮を添える。
🌕 結び ― 奉行の言葉
ざくろは、割れてこそ真を見せる果実。 まことに料理もまた然り。包み、割り、広がる香の中に、職人の心が宿るもの。 秋の膳、紅を湯気に映し、静けさのうちに味を知る――これぞ京の粋でござる。
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